日本非居住株式投資家の税金をタイ在住の例において

前回の記事「特例だらけの確定申告を終えて」の流れで当記事を作成します。

日本居住において、日本に支払う税金を抑えるためにあの手この手を使ったとしてもそれなりの額を支払う必要に迫られます。

例えば年収1,000万円の場合、所得税と住民税を合わせてざっくり137.4万円の税負担を求められると算定しているコラムがあります(参照:年収1000万円の手取りはいくら?所得税と住民税の計算方法)。

そして、日本居住者が株式の売買で利益を得た場合は、その利益に対して20.315%の税金が課税されます。

そのため、株式投資家が上記の様に1,000万円の株式売却益を得た場合、約203万円の税負担が求められることになります。

仮に専業投資家として株式売却益を事業所得として計上したとしても、所得税が約167万円、住民税が100万円の合計267万円の税負担が求められるため、よっぽどで無い限り事業所得計上をする必要はありません。

 

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日本非居住者の場合、原則として日本への納税義務は発生しません。そのため、株式投資により売却益を計上したとしても日本へ納税する必要はありません。

私も日本非居住者となって以来、株式投資による売却益に対する税金を支払ったことは無く、上記の様に1,000万円の売却益を得た場合でも日本に支払うべき税金はゼロです。

そこで、日本非居住者であれば税金を全く払う必要がないのか、という点について考えると、実はそうではありません。

私の場合、日本非居住者のため日本への納税義務はありませんが、タイの居住者となっているためタイの法律に則って納税する義務があります。

タイ居住者の株式投資による売却益に対する課税は基本的に二種類に分かれます。一つがタイの証券取引所に上場している銘柄であれば非課税、タイの証券取引所以外に上場している銘柄であれば所得税の課税率と同じものが適応されます。

そのため、タイ居住者の私が日本の証券取引所に上場している銘柄により1,000万円の売却益を得た場合、約230万円(1バーツ = 3.5円)の納税義務が発生します。結果として、1,000万円の売却益で考えた場合、日本居住者よりも多くの税金を納める必要が出てきます。

しかし、タイ政府が何を考えてこの条件を追加したのかは分かりませんが、タイの証券取引所以外で得た売却益が課税対象となるタイミングは、原則「売却により利益を上げた通貨をバーツとしてタイへ持ち込んだ時点」です。

私はシンガポールの証券口座を利用し日本の証券取引所に上場している銘柄へ投資しています。通貨は円建てで行っているため、売却益を得たとしても円建ての売却益となり、この売却益はまだ課税対象とはなりません。

この様に、株式個人投資家であればちょっとした工夫で租税回避を行えます。また、タイの様な地をタックスヘイブンと言います。昨今のパナマ文書問題で取り上げられたこの言葉には聞き馴染みがあるかと思います。

 

Resident 

個人によるタックスヘイブンを利用した租税回避はその地の居住者となることが必要です。そのためにクリアすべき問題が、その地の居住者となるための条件を満たすことと、日本の非居住者となるための条件を満たすことの二つです。

タイであれば「暦年中のタイの滞在日数合計が180日以上滞在する者すべてを指す」とシンプルに定義されているため、タイ居住者の条件を満たすことは簡単です。

反対に、日本の非居住者条件は永住権取得などを除いた場合、「国内に住所を有さず、又は現在まで引き続き1年以上居所を有さない個人」と定義されています。住所は住民票の所在地を基本としながらも、「その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること」が追加条件となります。

よって、日本の住民票を抜いてタイに180日以上滞在したからと言って日本非居住者と認定される訳ではなく、生活の基盤がタイにあると認められて始めて日本非居住者と認定されます。

生活の基盤の認識は最終的に裁判所の判断によりますが、学生や駐在員はもちろんのこと、個人投資家の様な職業でもタイの居住者条件を数年間満たせば日本非居住者と認識されます。

上記内容は私が実際に国税庁で国際税務に携わっていた二名の税理士様にご解説頂いたものであり、上記では数年と濁しましたが、当時の条件を照らし合わせると、3年間を満たせば少なくとも日本非居住者と認識されると思います。

 

CRS 

日本居住者が海外の証券口座により株式取引をした場合、その証券会社は日本の金融庁にレポートを送付します。それをCRS(Common Reporting Standard)と呼び、脱税などに対処するために設けられた制度です。

CRSは加盟国を対象に実施され、日本やアメリカを始め、多くの先進国が加盟しています。そのため、日本居住者が海外の証券口座による株式売却益を上げた場合でも金融庁に認識されます。

ちなみにタイは2020年2月19日現在CRSに加盟しておらず、タイ居住者がシンガポール証券口座を利用したとしても、タイ政府にその内容を認識されることはありません。

日本居住者は海外の証券口座を利用するメリットは何もないため、日本の証券口座を利用することをお勧めします。

2 コメント

  1. こんにちは
    私もこれからタイに移住しますので
    このブログの内容は凄く勉強になりました。
    そこで、ご質問があるのですが・・・
    日本でいま使っている証券口座を一般口座に変更して株取引をするつもりです。
    その場合は日本から現金をタイへ持ち込んで換金した場合に税金がかかってくるのでしょうか??
    よかったら教えてください。

    • あべ様

      ご閲読およびご感想ありがとうございます。
      日本の現金をタイへ持ち込んだ後、両替によって日本円→タイバーツとした場合は税金は発生致しません。
      今回の注意点としては日本から持ち出せる現金が100万円であることです。

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